2015

10.

26

Mon

わが国の法秩序の頂点にある日本国憲法について

今回からは、しばらく、ざっくりとわが国の法制度の概要についてお話したいと思います。まずは、わが国の法秩序の頂点にある日本国憲法についてお話したいと思います。憲法は最高法規なので、他のすべての法規が憲法に従うこととなります。この点が憲法と他の法規との決定的な違いになります。憲法以外の法規は、「〇〇するな。〇〇したら刑罰だ。」とか、「〇〇せよ。〇〇しなかったら刑罰だ。」という感じで、国民の権利を制約したり義務を課しています。要は、国民の上に国家権力が位置して、法規を制定、執行することで、一般国民の自由を制限し、治安維持などの役割を果たしているわけです。他方、憲法は、国民の上に位置する国家権力のさらにその上に位置し、国家権力に歯止めをかけているのです。たとえば、刑法は、他人を名誉を毀損することを名誉毀損罪として処罰しています。しかし、憲法は、表現の自由の一環として、政治的表現の自由を保障し、刑法に歯止めをかけています。刑法は、これを受けて、名誉を毀損した場合であっても、一定の場合の政治的表現は、他人の名誉を毀損した場合であっても罰さないということになっています。
このように、憲法は、国家権力の上に位置して、国家権力に歯止めをかけ、我々国民の自由を保障してくれているものなのです。