2017

06.

10

Sat

「100円を拾った、ラッキー」は、民法上も違法!?

ご存知ですか?

前回のブログでは、落ちているお金を拾ったら、占有離脱物横領罪または窃盗罪が成立するとお話しました。
このことは、決して落とし主にお金を返すということを意味するわけではありません。お金を元の落とし主に返す返さないは、犯罪の成否とは別の民事上の話です。今回は、このことについてお話します。

事例

Aさんは、拾ったお金を元の落とし主に返す必要があるのでしょうか。

解説

実は、民事上、お金については、常に所有と占有が一致します。
つまり、Aさんが拾ったお金は、Aさんの占有状態になった時点で、Aさんの所有ということになります。
刑法上の局面のように、占有離脱物にも他人の物にも当たりません。
このように、金銭の所有権や占有の帰属について民法と刑法で解釈が異なることは、それぞれの法律の制度趣旨が異なりますので、何ら変なことではありません。

しかし、お金がAさんのものになるからといって、Aさんにそのお金を保持する正当な権原があるわけではありません。
つまり、Aさんは、お金を取得するかわりに、元に落とし主に対して返還債務(民法703条、704条)を負います。
このように、民法の世界では、お金の所有権こそ取得するものの、そのかわりに、お金の返還債務も負わせることで、落ちているお金を横領することを違法なこととして禁じているといえるでしょう。

今後のアクション

このようにお金を拾うことは刑法上も民法上も違法ですので、必ず警察に届けましょう。