電車の乗車妨害について
電車の車両の出入り口に立ち塞がって乗ろうとする人の妨害をする、という嫌がらせがしばしばあるようです。
今回は、このような嫌がらせ行為の法的責任を考えてみます。
まず、刑事の点について検討します。嫌がらせ行為が、乗ろうとする人に対する体当たり等の暴力に当たる場合、暴行罪となります。
また、鉄道会社の職員さんなど、電車に乗ること自体が仕事である場合、その人に対して立ち塞がる等の行為でその妨害をすれば、業務妨害罪となります。
他方、上記2つの場合以外は、基本的には犯罪となることは困難でしょう。
他方、民事の点については、その嫌がらせによって電車に乗り遅れて商談に間に合わず大事な契約ができなかった等の損害が発生すれば、損害賠償を請求できる余地があります。
ただ、一般には、電車に乗り遅れたことによって経済的な損害が発生することは、相当レアなケースだと思います。
さらに、何より、法的責任を追及する場合、その嫌がらせをした人物がどこの誰であるか特定することが最大のハードルとなると思われます。
近くの駅員の協力を求めたり、勇気を出して駅員室に連れていく等で、その人物の氏名、住所、連絡先等を確保しましょう。