2022

04.

06

Wed

離婚に伴う慰謝料について

1 総論

離婚をする場合、相手方配偶者に対して慰謝料を請求できる場合があります。
ただし、以下のように、必ずすべての事案で慰謝料を請求できるわけではありません。
また、妻だけが請求できるものではありませんし、別居のために転居をしたのがどちらか、離婚を求めたのがどちらか、離婚届出用紙を用意したのがどちらか、離婚の届出を行ったのがどちらか等といった事情は、関係ありません。

離婚の場合の慰謝料は、相手方配偶者による一方的かつ違法な言動によって婚姻関係を破綻させた場合に、自らが被った精神的損害を回復させるために支払われる金員です。
違法な言動であることが必要ですので、単なる性格の不一致などお互い様の場合は、互いに慰謝料を請求できません。
また、一方的であることが必要ですので、例えば互いに違法な言動をし合っていた場合は、請求が難しいでしょう。

このように慰謝料を請求できるのは、相手方配偶者に一方的かつ違法な言動があった場合であり、その典型例は、相手方配偶者が一方的に不貞をした場合やDVを行った場合です。

近時モラハラを原因とする慰謝料請求事案が増加しているように感じますが、もちろん請求が認められる場合もあります。

ただし、モラハラは、物理的なDVを異なり、目に見える傷が残るものではありませんし、また、その程度が様々な上、どこからがモラハラか明確に区別できる基準があるわけではないので、弱いモラハラの場合は、慰謝料請求が認められないケースもあるでしょう。慰謝料請求が認められるかどうかについては、弁護士に相談なさるのがいいでしょう。

2 慰謝料額の相場

最終的には、慰謝料額は、裁判所が定めます。相場としては、数十万円から500万円くらいです。
幅があるのは、どの程度の違法な言動をしたか、違法な言動を何回したか、どのくらいの期間継続したか、当事者の経済状況、婚姻期間、どのくらい被害者が傷ついたか等の事情の総合判断で定められるからです。
個別的な事案で慰謝料請求額がどのくらい認められそうかも、その目安を弁護士に相談なさるといいでしょう。

ただし、離婚する夫婦が合意で定めるのであれば、幾らでも構いません。
また、離婚したい配偶者が離婚したくない相手方配偶者に対して相場よりも多額の慰謝料を支払うことで、離婚に漕ぎつけることも、しばしばあります。

3 慰謝料の支払時期、支払方法(一括か分割か)

判決で慰謝料の支払を命じられた場合は、すぐに一括で支払う義務を負います。
ただし、これも当事者の合意で、支払を先延ばしにしたり分割払いにしたり自由に決めることができます。

4 慰謝料請求が認められるための証拠として、どんなものが考えられるかどうかについては、慰謝料発生の基礎となる違法な言動がいかなるものかによって、異なります。

⑴ 不貞の場合は、探偵による調査報告書、性行為時の写真、ラブホテルのサービスカード、性病の診断書、不貞当事者相互間のメール等のやりとり等が挙げられます。
⑵ DVの場合は、受傷の診断書、傷の写真、警察への通報記録等が挙げられます。
⑶ 家計の浪費の場合は、クレジットカードの履歴、各領収証、無駄な買い物をした場合の物の写真等が挙げられます。
⑷ モラハラの場合は、モラハラ的発言の録音、メール等のやりとりの記録等が挙げられます。
いかなる言動についてどのような証拠が必要かについても、弁護士に相談なさるといいでしょう。

もし何らかのトラブルでお悩みになっていらっしゃるようでしたら、弁護士がお力になれることがあるかもしれません。

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