遺言を作成しない言い訳③
さて、「自分の相続人となるべき人達は、皆仲がいい。」という理由、というか言い訳で、遺言をしない方がいらっしゃいます。
しかし、元々仲がよいお子さん方であっても、それぞれ成人、独立して家庭を持つ場合、それぞれの家庭においてお子さんの進学、医療、マイホーム購入等の事情があるのが通常です。また、相続人誰か1人のみが被相続人を献身的に介護していた場合、その人が多めに遺産を取得したいと考えるのは、人情としてもっともなことでしょう。しかし、他の相続人もそれぞれの経済的な事情があるので、なかなか介護をしていた相続人の多めの取得を首肯しない場合が多いです。
遺言書は、誰にどの財産をあげるか明確にし、なおかつ付言事項といってその理由を記載することで、相続人もそれに納得し、従前の仲の良さを保全することができます。このようなことをしないと、各相続人のいろいろな事情により、それぞれが相続分を超えた相続分の取得を主張するようになり、紛争になってしまう可能性が高いといえるでしょう。
そのため、元々仲がいい方々であっても、仲がいいからこそ、その仲のよさを今後も継続するために、遺言を遺しましょう。