緊急事態宣言中のパチンコ店の営業について
ようやく緊急事態宣言が解除されました。
コロナ以前の生活に戻るには、まだまだ時間がかかることと思いますが、ひとまずホッとしたのは、私だけではないと思います。
これからも、感染拡大防止に努めながら、少しずつでも前に進んでいきましょう。
さて、今回は、緊急事態宣言中の社会問題について、私なりにお話したいと思います。
緊急事態宣言中、営業していたパチンコ店がとても非難されていました。
パチンコ店は3密の恐れのある業種ですし、他県の営業している店舗に出向いてパチンコを打つファンの姿に、複雑な気持ちになった方も多いことでしょう。
では、何故、パチンコ店に限らず、様々な業種に対して、緊急事態宣言中に営業自粛要請しか出せなかったのでしょうか。
営業停止命令を出したり、罰則を科したりして、強制的に営業を停止させることが出来なかったのでしょうか。
この問題については、憲法と法令との違いについてお話しなくてはなりません。
法令というのは、主として、国家が国民に対して~するな、~せよといろいろとうるさく命じるものです。
これに対し、憲法は、国民が国家に対して~するな、~せよと命じるものです。
憲法は、国民の人権を保障しています。そのため、国家は、国民の人権を侵害しない範囲でのみ、国民の権利等を制限できるにすぎません。
緊急事態宣言にともなう営業自粛要請や外出自粛要請も、国民の人権である経済活動の自由や移動の自由を侵害しない範囲でなければならないのです。
諸外国のように、日本でロックダウンができないのもそのためです。
パチンコ店に対するメッセージが単に営業の自粛の要請にとどまれば、パチンコ店としては、その要請に従わなくとも全く構いませんし、憲法違反の問題もありません。しかし、行政が営業を継続するパチンコ店を公表する場合、それによって店舗の売上が減少するようであれば、パチンコ店の経済活動の自由を侵害するものと評価される可能性が出てきます。
その一方で、新型コロナウィルスを終息させるべく、パチンコ店に客が密集することも避ける必要があります。大変むずかしい問題といえます。
私としては、店舗名の公表まではギリギリ合憲であるものの、営業をすることで罰則が科されることになれば、明らかにパチンコ店の経済活動の自由を侵害するものとして、憲法違反となると考えます。
憲法に違反することは出来ませんので、強制的に営業を停止させることは出来なかったのです。
新型コロナウィルスの終息後は、各地で国の責任を問う訴訟が勃発することが予想されます。 その際、上記のような視点を持って、その訴訟が正当なものかどうかを考えていきたいですね。