2016

08.

01

Mon

内縁関係って何?

②

はじめに

前回は、単なる恋人同士は、どんなに同棲期間が長くても婚姻関係になく、したがって、生活費を入れる義務などはないことをお話しました。
しかし、世の中には、いわゆる「内縁の夫」または「内縁の妻」などという概念はあります。これはどのような場合をいうのでしょうか。



事例紹介

何度かお話したように、婚姻の成立には、婚姻する意思の合致と、婚姻届の役所への提出が必要であり〔民法739条、742条)、これを欠く以上は、婚姻関係ではありません。
もっとも、たとえば、夫婦の姓を同じにするという夫婦同氏の原則(民法750条)を免れたいという場合など、婚姻の意思の合致はありながら、ことさらに婚姻届の提出をしない場合があります。この場合、婚姻の意思の合致があり、そうであれば、当の本人たちはもちろん、周囲も2人は婚姻関係にあるものと認識しているので、一定程度、婚姻関係に準ずるものとして取り扱う必要があります。ここで、登場するのが内縁という概念です。すなわち、婚姻届の提出、それに伴う戸籍制度と結びついた相続や同一姓などについて法律の適用はないものの、その他の戸籍制度と結び付いていない守操義務、同居義務・扶助義務(民法752条)、婚姻費用分担義務(民法760条)などは適用されます。そのため、婚姻届を提出しない場合であっても、内縁関係と認められれば、浮気は違法となりますし、一緒に住んで、扶助する義務が生じることとなります。また、いざ上記義務を免れようとして内縁関係を解消するには、その旨の合意か裁判所によるその旨の判断が必要となります。



事例解説

自分は内縁関係にあるとして、他方に何か義務の履行を請求する場合、内縁関係にあることを主張立証する必要があります。もっとも、単なる恋人関係か内縁関係にあるのかの判断は、微妙な場合が少なくありません。内縁関係は婚姻届を提出していないこと以外は婚姻関係にある場合と同一なものですから、内縁関係にあるというためには、結婚披露宴を行った、近所の人から夫婦として認識しているなどの事情が必要でしょう。

※民法の詳しい条文については電子政府の総合窓口:民法をご覧ください。



今後のアクション

しばしば、男女の権利義務の有無を巡って、内縁関係にあるのか否かが争点になることがあります。この判断は大変微妙なものですので、是非とも専門家の意見をお尋ねください。



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