刑事手続の流れ(前半)
ご存知ですか?
刑事事件の手続、すなわち、刑事手続は、どのように進んでいくのか、今回はその流れをご説明します。
事例
ある男性が電車で女性に対して痴漢をし、女性が警察に通報した場合、痴漢行為は迷惑行為防止条例違反という名前の犯罪行為となりますが、その男性の刑事手続はどのように進んでいくのでしょうか。
解説
刑事手続の最終目標は裁判による有罪認定ですので、裁判のためにその男性の逃亡を防ぐべく男性の身柄を確保して、証拠を収集する必要があります。この裁判前の証拠収集活動を捜査といいます。捜査は、検察の指示の下、警察によって行われることがほとんどです。
まずは、その男性は、捜査機関に犯罪行為を行ったと疑われた場合、逮捕されることとなります。逮捕の期間は、最大で3日間です。
次に、逮捕中、なおも捜査機関が裁判に向けて証拠収集を行う場合(これが通常ですが)、逮捕後、最大で10日間身柄拘束されます。この逮捕に続く身柄拘束を勾留といいます。勾留には、1度だけさらに最大で10日間の延長が認められています。
このようにして、逮捕を含めて最大で23日間の身柄拘束がなされるわけですが、勾留の最後の日(勾留満期日)に検察官が、その男性の処分をどうするか決定します。この決定を終局処分といいます。
終局処分は、大きく分けて、裁判を行うこととすること(起訴)と、お咎めなしとして不問に付す(不起訴)ことの2種類です。
なお、以上の捜査中、男性を逮捕勾留しないまま、証拠収集等の捜査活動を行う場合もあります。これを在宅捜査といいます。もし男性の身元がしっかりしていて逃亡の心配がなく、罪を認めているなら、在宅捜査もあり得るところです。
以上が刑事手続のうち捜査段階の大まかな流れです。
次回は、刑事手続の公判段階についてお話します。
おまけ
被疑者が逮捕勾留される場合、捜査官が自宅まで来て家族の目の前で逮捕されたり、勾留決定を下した裁判所から家族に対して被疑者が勾留されたことを知らせることがありまう。被疑者の家族は、このようにして被疑者が逮捕勾留されたことを知り得ることとなります。こうして被疑者が逮捕勾留された家族は、まずは弁護士に相談して、対応を検討し、被疑者の身柄の解放と事件の解決を目指すべきでしょう。