民事事件の手続の流れ
民事事件 とその手続
今日は、 民事事件 の手続の流れについて、お話したいと思います。
およそ民事手続は、「物を引き渡せ」か「金を払え」という請求がほとんどです。民事手続は、こういった請求を現実化するための手続です。
そのため、民事手続の流れを説明するには、権利の実現の最終段階からお話するのが分かりやすいと思います。
権利の実現の最終段階は、強制執行です。「物を引き渡せ」という請求であれば強制的に物を引き渡してもらうことになりますし、「金を払え」という請求であれば債務者の財産を競売にかけて競売代金から債権を回収することになります。
もっとも、強制執行には債務名義が必要となります。債務名義とは、平たく説明すると、「この人があの人に対してこういった内容の権利を持っているぞ。」という国家によるお墨付きのようなものです。そして、代表的な債務名義は訴訟における判決です。
そのため、権利者は、強制執行を目指し、義務者に対して訴訟を提起して、判決、すなわち債務名義を得ようとするわけです。
以上から、権利実現の時系列としては、訴訟→強制執行という順番になります。
もっとも、訴訟は、ときには一定の時間を必要とするものですから、訴訟を追行している間に義務者が強制執行の対象となる財産を消費してしまっては、権利者はたまったものではありません。例えば、「金を払え」という請求でまとまったお金が義務者名義の預金口座にあるのに、義務者が強制執行を免れる目的でそのお金を消費したり隠匿したりすることが考えられます。これに備えて、権利者が保全という手続を経ておくことで、義務者は自己の財産を自由に処分することができなくなります。
以上から、権利実現の手続としては、保全→訴訟→強制執行という流れになります。